Chasin' the Sound 5th

サックス(フルート)/ サウンド・デザイナー 栗原晋太郎のオフィシャルブログ

5/29(月) Live @The Deep 銀座

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5/29(月)、銀座でライブします。

 The Deepでのライブは初共演の場合が多く、今回は僕自身初めてギタリストの関根彰良さんとのDuo演奏(二重奏)です。

 これまでに、ピアノ、ベースなどとはライブで二人で演奏する機会に恵まれてきました。ライブの一部分ということであれば、ドラムと二人とか、タップダンスと二人なんて言うのもありました。

 二人というのは、合奏の最小構成人数で普通に会話をするようなやり取りがライブでも見られます。3人以上になると、聖徳太子のように一度に複数の人間と話ができる的な能力が普通に求められるんですが、互いの音だけに集中すればいいDuoの方が即興演奏が中心のJazzというジャンルにおいては面白いかもしれません。

 具体的には、伴奏にまわった方がリズム的に面白いモチーフを提示すると、そのリズムを使ったフレーズで応戦してみたり、一方が音数を増やせば他方もそれに乗ったり、音量を極端に増減させてみたり…。とにかく、演奏はリアルタイムで変化する。

 今回もピアニストとは違うアプローチで楽しくスリリングな演奏ができると思います。是非お越しください!

 

5/29(月) The Deep @銀座
栗原晋太郎(Sax)
関根彰良(G)
The Deep Jazz & Soul Bar 銀座

中央区銀座6-3-12数寄屋ビル4F
tel: 03-3571-9277
東京メトロ銀座駅徒歩3分、日比谷駅徒歩4分、JR有楽町駅徒歩4分

Music Charge: 2800
Table Charge: 500
※前日までの予約、女性グループ、学生TC無料
※ドリンクorフード2品以上オーダー制
Open: 19:00~
Live Time: 1st 19:30~、2nd 21:00~、3rd 22:30~(入替無し)

朋友、飯星裕史の七回忌によせて。

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彼が亡くなって、早6年の月日がたとうとしています。
奥様のジャズボーカリスト、平良亜矢子さんより、ゆかりの人々を呼んで何かやりたいと相談を受け、彼女の店The Deep@銀座で何が出来るか相談しました。
結果、全曲飯星曲で生演奏。しかもMMP社長、小川さんの飯星MIX スペシャルDJ付きのイベントを行う運びとなりました。加えてアーティストJoiさんの参加も叶い、素晴らしいクローズドイベントとなりました。
お店のキャパ的にどうしても少人数にならざるを得ず、泣く泣くお声掛け出来なかった方々の数たるや!本当に申し訳ありませんでした。
僕は見つからなかった譜面を作ったり、生演奏面でのサポートをさせていただきました。
改めて臨む飯星作品は、当時の自分には半分も理解できていなかったと気付かされました。とても洗練されているし、個性的です。こうして少しでも彼の曲を紹介出来たことが、とても嬉しい。
彼は亡くなってもまだ、人々をつなげてくれます。懐かしい顔が沢山ありました。確実に皆の心に奴がいました。
この6年、それぞれに充実しながらも過酷な月日がありました。そんな時間を経、それぞれに大人になったはずの皆の顔は、あの頃と何も相違がなかった。
飯星ありがとう、楽しかった?またやろうぜ。

ドラマ「カルテット」と映画「LA LA LAND」

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 宮台真司さんの映画評( ネタバレ注意!宮台さんが語る【ラ・ラ・ランド】 - YouTube )はネタバレが危険なそうなのであれなんですが、ここでのお話はとても面白い。

 話題の映画「LA LA LAND」には表現者へのメッセージが込められているという。本当はアートをやりたいけど、現実には聴衆はみなエンターテイメントを望んでいる。エンターテイメントによって、非道い現実を忘れさせてくれるという事が、ミュージカル映画の機能としてあるんだとすれば、現代においてそれを表現するのはなかなかに難しい。人生のある場面で、ああしておけば今とは違った生活になったのではないかという仮想。それを選択することは現実問題として難しかったという人々への忘却の提供。LA LA LANDのラストは人生をやり直すシミュレーションを物凄い密度でみせる。有り得たはずの未来をみせる。でもそれは夢の中でのデ・キ・ゴ・ト。

 
 一方、話題のドラマ「カルテット」は、様々なバックグラウンドを持つ4人の大人が音楽(クラシックの弦楽四重奏)を軸に集まり、それぞれの人生を昇華させていく物語。素晴らしい脚本で、毎回本当に楽しみだった。
 最終回では、ある意味のファンからの手紙で、才能のないあなた達が音楽を続けていく意味を問われる。「LA LA LAND」と同様、表現者へのメッセージとも受け取れる。
 
 音楽におけるポップスとは、構造は単純であり、メッセージに深みを持たせない方向に舵を切る。分かりにくさは、ポップスの敵でしかないからだ。しかし、人の心とはそんなに分かりやすくはない。その意味で、万人にとって普遍的なことは実はそれほど多くないんじゃないか。生活に疲れた人々は、そんな事を考えない…。
 
 「カルテット」の主人公は、カルテットのメンバーが夢を趣味に出来れば幸せになれるとの発言を遮り、それについての意見は述べず、大きなホールでのコンサートをやろうとを申し出る。メンバーはその決定以降、また再び音楽に集中しはじめる。
 答えなんて一つに限らない。ハッキリさせることの無意味さ。今そこにある現実だけが真実なんでしょう。だからミュージシャンは音をだす。何十年もの練習で得られたそれぞれに最高の音(一瞬で消えてしまうあまりにも儚い音という媒体)を頼りに、生きる。
 
 劇中のカルテットの名前「ドーナツホール」というのは絶妙なネーミングだ。ドーナツの穴を欠損として捉えた上で、欠損がなければドーナツ足り得ないという事実を芸術家の姿に重ねているんでしょう。
 
 僕はこの2つの物語から、いろいろ学んだ気がしています。それは僕自身が表現者でありミュージシャンであるからなのかもしれません。