Chasin' the Sound 5th

サックス(フルート)/ サウンド・デザイナー 栗原晋太郎のオフィシャルブログ

それでも自分探しする?

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自分探しは危険だ。

なんでこんな会社にいるんだろう、自分にもっとあった道があるんじゃないか?
なんで恋人が出来ないんだろう、自分に欠陥があるんじゃないか?
自分はなんにもやりたいことがない、でもきっと何かの才能がきっとあるはずだ!
とか言っては旅に出たりする。

僕は子供を授かる前はあまり積極的にNHKを見るタイプじゃなかったんですが、NHKの子供番組に子育てを助けられて以来、特にEテレ(教育テレビ)を中心にNHKのコンテンツが好きになってきました。
中でもよく見るのは「100分で名著」という番組で、ちょっと前の回に「オイディプス王」というギリシャ悲劇の傑作を取り上げていました。
録画して後追いで見てるのでタイミングが遅いんですが、いつも大体面白い。

25分番組を4回で100分。それで名著の数々を解説するんですが、「オイディプス王」の3回目が面白かった。
ギリシャ神話のオイディプスという主人公はそれとは知らず父を殺し、それとは知らず母と交わり、自らの出生は捨て子であるという境遇を持っています。
出生の秘密を知ったオイディプスは、自らを探すことになるんですがあまりの現実に自らを呪います。

ここで解説の島田雅彦さんが、自分探しという行為は危険であると述べはじめました。
多く場合、人は実際の自分に納得がいかないということをキッカケに自分探しをはじめます。
タイミング的には若い時分が多いでしょう。若い人をターゲットにしたJ-Popの歌詞の中には自分探しばっかりしてる人がたくさん出てきます。

自分に納得がいってないってことは、より良い自分が他にいるはずだと希望を抱くことになります。
しかし、賢明な読者の皆さんはお分かりの通り、より良い自分なんてどこにもいないんですよね。
なので、自分探しの終着点は大概が自分への幻滅。というかほぼ必ず幻滅。
だって、幻滅に至らないような人は自分探しなんてしないでしょ?

もしかしたら、深刻な思いで自分探しをしている人がこの幻滅に出会ったら自ら生命を断ってしまうかもしれない。
解説の島田さんは、もし自分探しをするならこの幻滅に出会う覚悟を決めてからするべきだと述べています。
そして幻滅に出会って、それを受け止めるべきだと。
全てはそこからスタートするのだと。

う~ん。これは納得。

明石家さんまさんもこう言ってるの思い出しました。
「俺は、絶対落ち込まないのよ。
落ち込む人っていうのは、自分のこと過大評価しすぎやねん。
過大評価しているから、うまくいかなくて落ち込むのよ。
人間なんて、今日できたこと、やったことがすべてやねん。」

そやな~。