Chasin' the Sound 5th

サックス(フルート)/ サウンド・デザイナー 栗原晋太郎のオフィシャルブログ

どうしてもある、バンド内格差問題

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ボーカルって凄い。
ポップ・ミュージック、特にバンドにおけるボーカルは重要度で他のパートの追随を許しません。
そのバンドの方向性を決め、世界観を決め、存在意義をも決めてしまう。

次いで重要なポジションといえばやはり曲を作る人。しかし、優秀な作家に作らせれば代えがきかないというものでもないし、その方がいい場合すらあります。その辺は音楽性によります。

問題はそれ以外のバンドマン。

その声(主張)はほぼ聞こえないといっても過言ではないのです。
聞こえなくなるのはある意味いいことで、それは演奏力の高さを物語る場合もある。バンドが質の高い演奏を披露すれば、オーディエンスはボーカルの個性に集中できるのです。リズムの悪いバンドや、しょっちゅう間違えているようなバンドではボーカルの個性も死んでしまいます。

J-Rockのバンドなどはギターソロでさえ、ライブであっても毎回同じ演奏をする場合があります。そして、安心安定の予定調和がPopであることとつながって、よりボーカルの重要性を増していきます。他のメンバーの個性を主張する場が少ないからです。

先日見たジェームス・ブラウンの映画でもあったんですが、バンドで売り出しても事務所的にはボーカルしかいらないと通告を出されてしまうという現実。これは結構よくあることです。そうなると、自然に解散の憂き目を見てボーカルだけが残ることになります。

売れているバンドには多くの場合、歌いつつ曲も書く人が多い。そうなるとバンドマンはある意味その人に捨てられないように気を使ったりするようになる事もある。それが嫌な場合は脱退、解散の時期が早まったり…。
ハッキリ言ってその人さえいれば他は代えがきく場合が多いのです。

とにかく代えがきかないのがボーカル。
まずはこの人を中心にコンセプトが決まり、楽曲の制作がはじまり、全体が動き出す。ボーカル本人が発起人になる場合も多いですね。

バックバンドをやると、ステージの裏ではボーカルだけが名前で呼ばれ、バンドはひとくくりに「バンドさ〜ん」と呼ばれます。なにも感じない人も多いですが、僕はいつもザワザワとします。
 
僕は若いバンドマンと親しくなると、必ず曲(作品)を作れといいます。でないとただのバンドさんになってしまうからです。
僕はどうしてもそれでは満足できないのです。要は満足感の個人差の問題なんでしょうね。代えのきかない音楽家になりたいのです。