Chasin' the Sound 5th

サックス(フルート)/ サウンド・デザイナー 栗原晋太郎のオフィシャルブログ

ジャンル

一人1ジャンルというのは音楽的な理想形で、優れたミュージシャンにはそういう人が多い。 ただ、ジャンルにこだわる人も多い。 ジャンルって要は区分けなので、人が物を選ぶときの指標になる。 そのジャンルに属していると宣言すれば、そのジャンルの好きなユーザーはある意味安心して買う事が出来る。 ジャンルにはもちろんルールがある。そのルールに従ってなければそのジャンルに聞こえないからだ。 ロックというジャンルにはどんなルールがある? ロックは多様で、時代性もあるしUSかUKかでも大分違う。ロックっぽくって単純に言われても困る。「ロックっぽく」としか言わないクライアントはロックリテラシーが実はものすごく低かったりする。ロックに明るくない製作者にとっては本当に困る問題だ。(Wikiでロックと検索するとその多様性が分る。なにしろ全くまとまっていないからね。) ジャズではどうか?今クラブシーンでジャズといったら、少なくとも「チーンチキ、チーンチキ」という音ではない。逆にそういう音のジャズはニーズがない。(焼肉チェーン店にはあるが、誰も聞いていない。) ここにものすごく分りやすい例えとして、マイルス・デイビスの例を出します。 マイルスはもともとジャズ・ミュージシャンでしたが、どれだけ売れてもその生涯を通してスタイルを変化させ続けた稀有な存在でした。70年代にはすでに「チーンチキ、チーンチキ」をやり続けることにジャズの未来はないと宣言していました。 では今を生きる僕らにとって、ジャズって何なんだ? いや、ジャンルって何だ? ジャンルは分りやすさの象徴。 分りやすさって何?サビの15秒足らずで勝負できる音楽? 1分聴いて初めて感動できる音楽の立場はどうなる? 全部捨ててしまうの?だとすると、ビバップ以降のジャズにニーズがないこともうなずける。 結論が見えなくなって来ました。 一人1ジャンルこそが最終目標です。どのジャンルにもそういう天才がいますから。