Chasin' the Sound 5th

サックス(フルート)/ サウンド・デザイナー 栗原晋太郎のオフィシャルブログ

オルタネイト・テイク

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僕の友人の中には、大変なプリンスファンが何人もいます。
昔のバンド仲間には、愛称がプリンスだった者もいました。
先日、日本でも大きく取り上げられた彼の死には、少なからず影響を受けたことでしょう。

今年はとにかく大物が亡くなっていきます。
世界中で幾千の涙がこぼれたことでしょう。
どんな人にも等しく死は訪れる。

プリンスは、一説によれば、自宅のスタジオで仕事をしながら亡くなっていったといいます。
単純にそうであれば、幸せな最期だったかもしれません。
ずっとずっと、音楽を休みなく作っている人だったから…。
彼は多作家で、気分さえ乗ってくれば何十時間でも連続で作業すると言われていました。

本当の意味で天才だったんでしょう。
イデアが絶え間なく出てきたんでしょうね。

そして毎年のようにアルバムとして発表してきました。
彼の死後、3,000曲ものストックがあるという噂まで出始め、むこう数十年は彼の新譜を聴くことが出来るとまで言われているようです。

でもね、

未発表には理由があるんですよ。
僕の好きなミュージシャンの多くは、ぼくが知った時点で多くが他界しており、当初、新譜というものはありえないと思っていました。
でも人気があればあるほど発掘発見された録音物が、新譜やオルタネイト・テイクとして発表されるんです。

でもね、ほとんどの場合オリジナルテイクよりも素晴らしいということはないんです。
歴史的な資料という意味ではもちろん価値もありますが、音楽家は意味あってオリジナルテイクを残しているのだとしたら、死後に発掘してしまうのは少し悲しい様な、違う様な気がします。

でも聴きたいけど。

きちんとアルバムという形で残されたものこそが当の本人の意思であることは確かです。

今まで一番いらなかったオルタネイトテイクは、コルトレーンの「至上の愛」でしたね。
あそこまでスピリチュアルを極めた作品では、無理やり発掘する事は冒涜であるとも思えますね。